基本情報

書名  本を贈る
著者  若松 英輔 / 島田 潤一郎 / 牟田 都子 / 矢萩 多聞 / 橋本 亮二 / 笠井 瑠美子 / 川人 寧幸 / 藤原 隆充 / 三田 修平 / 久禮 亮太
刊行日  2018年9月10日
価格  1800円+税
ISBN  9784990811631 C0095
判型  四六判 / 上製 / 角背 / 304ページ

[ジャンル]  エッセイ, 文芸

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内容紹介

本は「商品」として工業的に生産、流通、消費されている。しかし、それは同時に、宛先のある「贈りもの」でもある。作家から取次、本屋まで、「贈る」ように本をつくり、本を届ける10人の手による珠玉の小論集。

帯・推薦文

大切な人が
困っているとき
金銭を送る

だが 私たちは
言葉を贈ることも
できる

若松英輔「眠れる一冊の本」より
(本書所収)

目次

本は読者のもの / 島田潤一郎(編集者)
女神はあなたを見ている / 矢萩多聞(装丁家)
縁の下で / 牟田都子(校正者)
心 刷 / 藤原隆充(印刷)
本は特別なものじゃない / 笠井瑠美子(製本)
気楽な裏方仕事 / 川人寧幸 (取次)
出版社の営業職であること / 橋本亮二 (営業)
読者からの贈りもの / 久禮亮太 (書店員)
移動する本屋 / 三田修平(本屋)
眠れる一冊の本 / 若松英輔 (批評家)

著者プロフィール

若松 英輔(著)
一九六八年、新潟県生まれ。批評家・随筆家。
慶應義塾大学文学部仏文科卒業。二〇〇七年「越知保夫とその時代 求道の文学」で第一四回三田文学新人賞受賞。二〇一八年『見えない涙』(亜紀書房)にて第三三回詩歌文学館賞を受賞。著書に『常世の花 石牟礼道子』(亜紀書房)、『小林秀雄 美しい花』(文藝春秋) 、『悲しみの秘義』(ナナロク社)、『霊性の哲学』(KADOKAWA)など。

島田 潤一郎(著)
一九七六年、東京育ち。
二〇〇九年九月に出版社「夏葉社」を東京・吉祥寺で創業。『昔日の客』(関口良雄著)、『星を撒いた街』(上林暁著)ほか、昭和の名著の復刊などをひとりで手がける。著書に『あしたから出版社』(晶文社)がある。

牟田 都子(著)
一九七七年、東京都生まれ。出版社の契約社員をへて、フリーランスの校正者。関わった本に『猫はしっぽでしゃべる』(田尻久子、ナナロク社)、『詩集 幸福論』(若松英輔、亜紀書房)など。

矢萩 多聞(著)
一九八〇年、横浜市生まれ。画家・装丁家。
中学一年で学校をやめ、南インドと日本を半年ごとに往復。二〇〇二年から本づくりの仕事にかかわるようになり、これまでに四五〇冊を超える本をてがける。著書に『偶然の装丁家』(晶文社)、『たもんのインドだもん』(ミシマ社)など。

橋本 亮二 (著)
一九八一年、名古屋市生まれ。大学卒業後、朝日出版社に入社。一般書営業部所属。流通から販売までの一連の業務に従事している。Twitter運用やメールマガジン発行も担当。全国各地、本のある空間に行くことが日々の糧。

笠井 瑠美子(著)
一九八〇年生まれ。武蔵野美術大学デザイン情報学科卒業後、株式会社東京印書館に入社。製版部、管理部門を経て退職後、デザイン制作会社に勤務する傍ら、手製本工房まるみず組で手製本を習う。現在は加藤製本株式会社で束見本作成に従事。文芸や人文書などの上製本を主に手がける。

川人 寧幸(著)
一九七一年生まれ。一九九四年早稲田大学第二文学部卒業。フリーター時代を経て九〇年代後半にリブロ池袋本店でアルバイト二ヶ月、契約社員二年。取次の鈴木書店でアルバイト一年、正社員二年。同社倒産後、本の運送会社や書店でのアルバイトを経て、二〇〇三年、取次の株式会社JRCの創業に参加。二〇一二年に副業として出版の夜光社、同年、取次として独立し、ツバメ出版流通株式会社を創業。現在に至る。

藤原 隆充(著)
藤原印刷株式会社 取締役。創業七〇年の印刷会社の四代目。企画の段階から造本における仕様の提案を得意とし、本づくりを全面的にバックアップする。近年ではインディペンデント系の実績多数。代表的な作品として『T5』(東京藝術大学)、『もうひとつのデザイン』(D&DEPARTMENT)、『Rebuild New Culture』(Rebuilding Center Japan)、『わざわざの働きかた』(わざわざ)等。

三田 修平(著)
移動式本屋・ブックトラック店主。横浜市在住。
TSUTAYA TOKYO ROPPONGI、SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS等を経て、二〇一二年に独立。ブックトラックの他にも飲食店や小売店のブックセレクト、雑誌・ウェブサイトでの連載など様々な形で本に関わる仕事をしている。

久禮 亮太(著)
一九七五年生まれ、高知県出身。早稲田大学法学部中退。あゆみBOOKS早稲田店アルバイト、三省堂書店契約社員を経て、二〇〇三年よりあゆみBOOKS五反田店に正社員として勤務。二〇一〇年より同社小石川店店長。二〇一四年退職。二〇一五年「久禮書店」の屋号で独立。神樂坂モノガタリ(東京都新宿区)などで選書、書店業務一般を行うほか、長崎書店(熊本市)などで書店員研修も担当している。

編集後記

本書は、贈るように本をつくり、本を届けるひと10人の手による10編の小論(エッセイ)集です。

本は、他のものと同様に、工業的に生産される製品です。マーケティングによって需要を予測・喚起し、それを最大限に満たすように商品を供給することができれば売上が見込まれるし、逆に需要がなければ、売上はたたない、つまり商品として「終わっている」。本が売れない、読まれない、出版業界はおしまいだというとき、一にも二にもこの考えが優先されています。もちろんこの業界にそういう側面があるのも確かです。一定の経済規模があるから、本が本として成り立っていて、本屋が本屋として存在することができる。

ご存知のかたも多いと思いますが、本が読者の手にとられ、読まれるまでには、たくさんの人の手がかけられています。作家が書き、編集者によって編まれ、校正者によって「鉛筆」が入れられ、装丁家によってイメージが練られ、営業が書店をまわり、そうこうしているあいだに、印刷所で紙に刷られて、製本所で綴じられ、そこではじめて「本」が本になって、取次(≒問屋)が書店へと運び、書店員が品出し陳列して、読者ははじめて手に取ることができる。

「品出ししているときにふと気になって開いた写真集が美しかった。湧き上がる情感を誰かと分かち合いたい」
「すばらしい原稿を受け取ってしまったとき、他の誰かに早く読んでもらいたい」

前者は12年前に書店につとめていたときの、後者はまさにこの本のもとになる原稿を読んだときの、ぼく自身の心にふと湧き上がった「贈りたい」という気持ちです。図らずも受け取ってしまったものを、そのままに独り占めにできないから他の誰かにパスをする。それが本づくりであり、本を売るということではないか。であるなら、本が書かれ、つくられ、届けられるプロセスを、本がひとからひとへと連続的に贈られる、贈与のプロセスとしてとらえてみたらどうだろうか。すでにそのことを意識的に実践しているひとに聞いてみたい。そう思ったことから、この企画ははじまりました。

ちなみに、2004年のインド洋大津波の惨状と奇跡を描いた、タラブックスのハンドメイド本『つなみ』と同時発売します。