バウルを探して〈完全版〉特設サイト

書籍について

「あなたの中にすでにバウルがいるのだよ。こうして私を探しに来たのだから」

 ベンガル地方で歌い継がれ、今日も誰かが口すざむバウルの歌。ベンガルの行者バウルは「魂の歌い手」と呼ばれ、その歌と哲学はタゴールやボブ・ディランにも大きな影響を与えた。本作は、何百年もの間、師弟相伝のみで伝統が受け継がれてきた、バウルの謎と本質に迫ったノンフィクションである。

本書はバウルという歌う叡知の人たちの生ける伝統をバングラデシュに追い求めた記録であるだけではない。作者が、いかに言葉と決定的に結ばれていくのかの道程を記録した稀なる魂の記録だといってよい。この本を書くことによって作者は、言葉を用いる人ではなく、言葉に信頼され、言葉に用いられる人へと変貌した。

若松英輔

 第33回新田次郎文学賞受賞作に、旅に同行した写真家、故・中川彰によるベンガルの写真をおよそ100ページにわたって収録。また、本書のために書き下ろした小編「中川さんへの手紙」、若松英輔による解説「コトバに用いられる者たちの群像」に加え再構成した〈完全版〉。

バウルとは何者か

 本書はインドとバングラデシュに跨がるベンガルの地で、何百年も前から伝承されてきた「バウル」という行者の謎を追ったノンフィクションです。バウルについては吟遊詩人という我が国ではあまり想像のしにくい枕詞がつけられて紹介されることが多いのですが、かといって誰も彼らのことをわかり易い言葉一言で表現できるひとはいないと思います。

 まず、バウルは修行者(サドゥー)ではありますが、あまり修行をしていなさそうな者もいる。宗教者のようにも見えますが、ヒンドゥーのバウルもいるし、ムスリムのバウルもいるので、既存の宗教的枠組みからは外れた存在といえます。それにバウルは歌い手であることも多いのですが、エクタラと呼ばれる一本弦の楽器をかき鳴らしながら歌うバウルもいれば、歌わないバウルもいます…。

造本について

 カバーはつけず、カバー代わりに幅広めの帯をつけました。表紙はカッパーレッドの板紙に題字は白の箔押しです。綴じ方はこのところ時々見かけるようになった「コデックス装」。背を固めないことで本が180度開くようになっています(下の写真を参照)。

 本の背には通常「背標」と呼ばれる確認用の印がつきますが、いつもはボール紙によって隠れています。一方、背をボール紙で固めないコデックス装では、それが顕になってしまいます。今回は背標をつける代わりに、装丁家が入稿締切をオーバーするほど時間を掛けて模様を配置しました。なお、中央の文字はベンガル語で「バウル」と書いてあります。綴じ糸は「ダンカラー」を採用。インド亜大陸のカラフルな色使いを思い出します。

  • 著 者 川内有緒(文)、中川彰(写真)
  • 判 型 A5版変形、384ページ
  • 製 本 並製コデックス装
  • ISBN  978-4-9908116-6-2
  • 価 格 2300円+税 

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