自分を取り巻く暮らしを少しずつ変えていくことで幸福へと近づいていく自らの軌跡を描いたベストセラー『私の生活改善運動 THIS IS MY LFE』。その著者・安達茉莉子が次に描くのは、誰もが人間らしく生きることができる世界を目指す「福祉」の現場。上から見れば、堂々めぐりのように見え、横から眺めれば後退しているようにも見える。でも、踏み出した一歩によって、わずかに、高みへと上がっている。そんな“らせん”のような日々を、福祉の現場ではたらく職員の語りを通して描いたエッセイ。
作家、文筆家。大分県日田市生まれ。防衛省勤務、限界集落での生活、英国大学院留学などを経て、言葉と絵による表現の世界へ。自己の解放、記憶、旅、セルフケアなど、「生」をテーマにした執筆をつづける。著書に『毛布 – あなたをくるんでくれるもの』(玄光社)、『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE 』(三輪舎)、『臆病者の自転車生活』(亜紀書房)、『世界に放りこまれた』(twililight)など。
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本書は「福祉」に今まで触れることがなかった作家・安達茉莉子さんが、障害者支援施設などの福祉事業所を取材し、また勤務する職員の語りに耳を傾けることを通して、はじめて福祉に出会い、驚き、これからの社会のヒントを得ていく本です。 『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE』(三輪舎)や『毛布』(玄光社)などの著作は、個人的な事柄を中心に、幸せについて綴ったエッセイでした。そんな著者が今回、「福祉」をテーマにするのは意外に思われるかもしれません。しかし、「福祉」は英語にすればwelfare、つまり「〔心身の、また経済的な〕幸福」です。彼女がこれまでに書き綴ってきたテーマである「セルフケア」「自分らしく生きられる世界」の先には必然的に福祉があります。 福祉の現場を描いた本書は、親族の介護や子育ての機会に誰もが出会うことになるであろう読者にとって、福祉の入門書になることを期待することができます。そしてそれだけでなく、例えば会社勤めしている方や経営されている方にとっては、組織づくりや社内コミュニケーションのヒントにもなるでしょう。